8Oct
今回はパワーハラスメントの女性同士版、俗にいう「お局」と呼ばれるものを事例としてあげて推敲します。人間関係の病ですから、いつもと同様に「加害者には事情がある」という前提をもって解釈を進めていきます。
パワーハラスメント(パワハラ)を見つめる
当院にはパワーハラスメントで悩んでいる人がよくお越しになります。もちろん被害者も多いですが、加害者つまり思わずパワーハラスメントをしてしまう衝動の話でお越しになる方も含みます。(余談ですが、適切な指導でも加害者と訴えられて戸惑ったという例もありますが、この場合は企業面談をしますのでここでは別件として取り扱います)。
このようにパワーハラスメントというのは被害者のみの悩みではなく、加害者の悩みにもあります。よって普段の診療では双方を見つめていること自体が援助としてとても重要になります。被害者だけを取り扱えば一見体裁はたちますが、パワーハラスメントとは対人関係の問題です。片側だけ援助する練習だけをしていても深い援助はできなくなってしまいます。
なぜならこのように被害者援助というのは、時に天下になってしまうからです。例えば「子どもを守ることは大切」と声高に言っていれば誰も反対する人は出ませんが、子どもだけに焦点を合わせていれば材料不足でそこで停滞してしまうことに似ています。大人側に中心を持っていく必要があります。
パワーハラスメント事例「お局」:きょうだい関係の投影か?
さてパワーハラスメントは確かに職場で生じるギクシャクではありますが、通常は加害者側の家庭等職場以外での人間関係、あるいは過去の人間関係の反芻であることが多くあります。
その中で最も気になるのはきょうだい関係の事例です。ここで女性のパワーハラスメントである俗にいうお局の事例を取り上げてみます。お局のイメージする「うるさい」「細かい」など、いわゆる長女気質がもたらしているように感じるかもしれません。逆に俗にいうチャランポランの人は、そのようにはならないだろうと思われます。確かに長女気質の人は職場のメンバーにも「完璧主義」「厳しさ」を求める傾向はあるでしょうが、お局に至るにはさらにポイントが必要になると考えます。
というのも、俗にいうお局の行動とは衝動的つまり「思ったらすぐにやらないと気が済まない」ものであり、従って感情の起伏に由来しています。そしてその感情の起伏をもたらしているものが嫉妬です。従ってお局的行動の衝動を励起するには、嫉妬対象となる人がそこにはいなければいけません。お局行動は端的にいえば「気に入らない」ことによるものため、気に入らない状態を経験し、これが現状で反芻していなければなりません。
そしてもう一つはパワーハラスメントは暴力ですが、これが許されることを職場以外のどこかで(つまり家庭が多いですが)直接経験、もしくは経験している人を目撃したという間接体験の必要があります。いずれにしてもお局という衝動行為が、過去に許されたという体験学習していなければ、職場で反芻できないのです。
(○後半では、姉から妹へのすり替えが職場で生じることにより、姉が妹に憑依することにより「お局」になること心の流れについて説明します。)
▼後半の記事:パワーハラスメント事例「お局」を解釈する (後)をご覧になる方はこちらから
最後に
川崎市のメンタルクリニック・心療内科・精神科『川崎沼田クリニック』では、パワハラでお悩みの方の診察も行っております。下記HPよりお問い合わせください。
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