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児童虐待と投影性同一視 (後)

  • 2022
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前項では、児童虐待が繰り返される要素として「よしよし」と「バーン」について述べました。この瞬間変化こそが投影性同一視と言われる防衛機制です。

投影性同一視は、巷でもよく生じる防衛機制であり、気づかないうちに人間関係の軋轢の大きな要因になり得ています。その応用ともいえるのが、前項からの児童虐待の心理の流れにあらわれています。

「投影性同一視」とは

まず前項では、優しさから暴力に突然切り替わる性質を持つ、児童虐待の極端さについて述べました。改めてこれを心理学用語で示すと「投影性同一視」というものが背景にあると考えられます。

投影性同一視とは「悪いと感じる部分をずっと感じ続けていると、自責感から自分を傷つけてしまう恐れがあると感じるため、目の前に相手にその悪さを映し出して相手の良くない点として捉えることにより、まがいなりにも自分の不安な気持ちを解放しようとする」という防衛機制です。

ここで述べる自責感を解放するには、あくまで勝手に相手の悪いところとして指摘しています。これは瞬時に自分の中からその悪い所を追い出す必要に「駆られて」のことです。よって急に投影された相手はその変貌ぶりに驚いてしまいます。

そして「駆られる」ということは、突然親など本人にとって過去に影響が大きかった誰かに突然指摘されてしまったように感じてるため、「急いで」拭い去りたくなります。その結果無理矢理感が大きい行動として見られます。

またこれは上述のように「まがになりにも」の対処法なので、あくまで有効期間は短いものです。よって時には相手を変えて何度も同じことを繰り返します。ここで時に気難しい人という流れが生じます。

「決めつけ」という思い込みとして派生

この防衛機制は、巷ではよく「決めつけ」という形であらわれます。決めつけた側が勝手に ”いけないこと” と捉えているわけですが、これが相手に対する怒りとして現れています。ということは、実は「本当はいけないとされていることを「本当は本人自身がやりたがって」います。よってこれはいわば、嫉妬感情の裏返しとなります。

ここまでに例として示した児童虐待の場合は、この投影性同一視の亜型が生じていると考えられます。つまり上述の一般的な投影性同一視における「現在の」自分の悪い点を目の前の子どもに映しているのではなく、「過去の子ども時代の自分」を映し出してしまっているのです。

このように極端さやムキになっている行動、あるいは気難しい人と言われる流れには、目の前の人以外の像が新たに生まれてきているということをとらえることが肝要です。

いじめ

「お局」- 投影性同一視派生のもう一つの例

ちなみにこの極端さが組織でよくみられる一例が、「お局」といわれる場面かもしれません。

つまり「機嫌がいい時と悪い時」と巷では言われてしまっているとは思いますが、児童虐待同様に極端に行動が変わっている様子などには、この投影性同一視に伴う受け入れがたい嫉妬がはびこっていることがあります。

もちろんこの「お局」をやらざるを得ない当事者に対しては、過去を切り離すことで「あの時のことがまた起こることはない」という感覚を、身体で覚えていくように導くことが介入となります。

(注釈)

(※)ちなみにこの機制を「投影」と捉える人もいるかもしれませんが、主格と対象が向きが完全に反対になっておらず、また現在と過去という時間軸にずれがあること、あるいは映し出される増に対して否認と攻撃性を伴うことから、投影性同一視が無難な解釈と捉えています。

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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