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    川崎沼田クリニック

パワーハラスメント事例「お局」を解釈する (後)

 
 
謝罪
 

なぜパワーハラスメント事例「お局」を解釈する (後)お局が生じるのか、それはもちろん「許せない」と感じるからです。そしてここには最低三人の登場人物 (主に女性) が必要となります。そもそもの姉が妹役になれる環境があること、そしてその妹役となった姉の下に、さらに下の妹役と加害者が感じとれる女性の存在です。この心の流れを詳しい事例とともに解説していきます。

パワーハラスメント事例「お局」:職場で妹になった時

姉妹の間に入る大切な視点が「嫉妬」という概念です。姉の立場の人が職場に入り、さらに先輩や上司など立ち位置で上の女性が出てくると、家庭との立ち位置と変化が生じ、職場では姉仕様から解放されることになります。つまり家庭では姉仕様でも、職場に女性の上司や先輩がいると、自分は姉にならなくてよくなる事例です。ここで自らが行ってきた姉のモデルを上司や先輩に任せて、自分は家庭では不可能な立ち位置であった奔放な妹役を自ら振る舞いたくなる衝動に駆られるようになります。これはまるで妹に憑依したような様子で、我慢してきた姉ほどガラリと変わってきます。

ここでちなみに実際の家庭環境下においては、表面上妹に怒りを持っているわけではありません。むしろ妹を大切にしているケースすら多くあります。これは次のような構図です。

奔放な妹に対し常々姉が我慢していますが、それでも「母が妹の方を可愛がっている」場合です。姉は相応しい姉役として我慢したり、あるいは母と妹との繋ぎ役を担います。この場合、姉はこのような我慢や繋ぎをし続けていても「姉としては当然」と母からは報われません。一方姉がこの立ち位置の我慢や繋ぎを放棄したら、「姉」像に期待する母からの寵愛がよりなくなってしまうと考えるため、葛藤したままやめられないという状態が続きます。

従ってこの場合奔放な妹との間を繋ぐ、あるいは場合によっては援助するという姉の役割を持って、姉は母からの寵愛を得ようとします。よって姉から見れば内心羨ましい妹をさらに庇うという構図になります。このように姉が妙に妹を庇おうとする動きには、実はこのように潜在的な妹に対する嫉妬と、母との愛情関係が入り混じっていることが多いです。

このように、妙に密着した関係には、大きな嫉妬が含まれているのです。そこには家庭における理不尽という思いがはびこっています。これが場面が変わり妹役になったときに表出します。

怖がっている人

パワーハラスメント事例「お局」:鬱憤を職場で倍返しする

そこで会社に戻ります。このように内心いつも羨ましく思っている妹を持つ姉が、たとえばさらに妹と同じような振る舞いに見える年下の女性を職場で見つけると、家庭の立ち位置の反動としていわゆるお局が始まることになります。

ではなぜいつも我慢している姉がお局となるときには、このように奔放なわがままな理不尽な態度を振る舞えるのか。それはいつもその存在に (ある意味) 疎ましく思っている妹の態度を体験学習していて、職場で真似ることになるからでしょう。従って傍から見ればその理不尽な加害者であるお局のやり口は、そのお局の人の近しい関係者、多くは妹の立ち振る舞いからヒントを得ていると推測できるのです。

「私だって暴れたい !!」…このように家庭環境における鬱憤と嫉妬の裏返しが、職場で偶然妹の立ち位置を得ることにより繰り広げられるパワーハラスメント事例です。

職場で姉が妹役になり、妹役の人が出てきたことを機に、姉が実妹の代わりに叩くという構図です。従ってお局をしてしまう人の加害者治療では、加害者のモデルになる人(存在すれば加害者の妹)との関係を見つめていきます。

態度が豹変するのだからモデルが必要-男性の場合のパワハラ事例は?

このように態度が急に衝動的に豹変する場合は、モデルとなっている人が必要になります。環境などで立ち位置の変化により、姉から妹になれる立場になるなどで姉の立場から解放されたとき、かつ妹のような立ち居振る舞いをしている人 (例えばここでは私のように我慢せず、無根拠に自由奔放に意見を放つ妹)が認められていると感じる場合に、その羨ましかった妹の態度を模倣して攻撃が始まります。

ちなみに男性の場合においては、男女が反対になることが多いでしょう。これはあくまで日本の場合は「家長制」として、兄が弟より大切にされるケースがみられるからです。従って姉妹関係の時とは反対になります。弟が兄、特に長男に対する嫉妬を、社会で反芻して展開していくことになります。

従って大きな一つの例として、男性の男性に対するいわゆるパワーハラスメントは、まるで「兄に向って騒ぎ出す」ことになります。つまり兄に対する嫉妬がみられる弟が会社の役職で兄になり、「兄のようにしている人 (部下)」に対して騒ぎ出すという流れです。

このようにパワハラをしている当事者が「誰のやり方を真似ているか」「誰を相手に投影しているか」(いずれも嫉妬相手)を照準に見つめていくことになります。

パワハラもハラスメントの一つですから、家庭での人間関係の鬱憤を職場を使っての払拭場面として使われることが多いです。特に「解決方法を見出していない」訴えが基準です。

まとめるとハラスメントとは、「本当に言いたい相手に言えない」ことにより生じています。例えば「仲が良いきょうだい」において、どちらかがずっと歩み寄っていることが潜在的な負担となり、このように職場に反映されることがみられます。

最後に

川崎市のメンタルクリニック・心療内科・精神科『川崎沼田クリニック』では、パワハラでお悩みの方の診察も行っております。下記HPよりお問い合わせください。
https://kawasaki-numata.jp

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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