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    川崎沼田クリニック

職場適応障害とかつての「新型うつ病」(前)

 
 
海岸を歩く家族の影
 

適応障害・うつ病・新型うつ病

労務における精神疾患の三大要因は、過労、職務適正、そして人間関係となっています。また適応障害という診断は、その状態を回避できれば、状態が改善して来るだろうという子が見込まれる時使われます。

一方うつ病というのは、思考のまとまりのなさや制止、焦燥感、不眠、食思不振などの「うつ病エピソード」と言われるものが、2週間ほぼ毎日一日中生じていることを前提に現在は診断されます。

ちなみに余談ですが、2000年代に「新型うつ病」というのが日本では言われていた時期がありました。これは平日の勤務中は具合が良くないが、休日になると外出して楽しめる、テニスやスキーにも行けるなどがありました。当時は2週間の継続エピソードという基準がなかったこともあり、新型うつ病の処遇に関しては企業はとてもてこずりました。本人は休職など保障の中での権利と、具合が良くない理由を主張してくることが多かったからです。

そのあと追加されたうつ病の基準に戻れば、この新型うつ病はうつ病ではなくなります。よって現在では適応障害という中で改めて納まっています。

適応障害の診断基準と環境

さて適応障害というのは、「その環境が変化すれば状態が改善される」というのが大前提ですが、ここで焦点は「その環境」ということになります。その環境とは労務の場合は先述の三大要因から、労務時間の多さと職務内容、そして人付き合いを含めた職場環境ということになります。

本人の中で引っ掛かりとなっているこれらの環境が「変化すれば」、精神状態が改善するのが適応障害であり、本人も具合が悪い時にその目指す変化を主張してきます。ところがこと環境が変わった場合でも改善に向かわない場合、これは「現在の」環境改善だけでは結びつかないとなります。

ということで、現在以外の事情というのを把握していくことになります。つまり「その人にとっての過去」の事情や人間関係が源にあるというきことを考慮していくことになります。

ナース

かつての「新型うつ病」の “ムキ”

若干もどりますが先述の新型うつ病は、典型的には土日は抑うつ気分がおさまり、平日勤務時に具合が良くなくなるとということでした。従って仕事に対する意識が焦点となり、ここが当事者の過去の出来事や人間関係から会得した価値観との結びつきを表しています。

例えば組織に「従う」ことや「合わせる」ことに対して過剰な苦痛を感じることがあります。過去に味わった出来事や人間関係とオーバーラップしていれば、毛嫌いの「感度」が高まり、かつおさまるまでに時間を要する、つまり「遷延化」することになります。

そのため、この感度が高くて長期化する苦痛を自ら抑えるために、次第に自らを「合理化」つまり「自分がいまこの行動で構わない理由を無理矢理作ってしまうこと」によって、自分で自分を責め立てたり思いつめたりすることから逃れようと試みます。

しかしこの合理化は自分で無理があることもどこかで認識しています。ところが止めることにより不都合になると勘違いしている場合は、さらにその気持ちを無理矢理制しようとします。次第にエネルギーが高まってきて、火山の爆発ならぬ「怒り」や「自傷」として、衝動の高まりとして現れてきます。

これがいわゆる「ムキ」というものです。

この「ムキ」の表出の仕方の変遷を、後半で取り上げます。

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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