31Oct
衝動について二回に渡って記します。
衝動性の特徴 : 「反復性」「執着性」「強迫性」
衝動コントロールの不具合によって現れる様々な疾患や社会問題行動には、次の三つの特徴があります。繰り返し行なう「反復性」、対象が限定される「執着性」、そして一度そのことに捉われたら別の事柄が出来ない「強迫性」です。従って、「いつまでも手を洗わないといられない」(洗浄強迫)、「玄関の鍵を閉めたかどうか、火を消したかどうか何回も確かめないと気が済まない」(確認強迫) といった「強迫性障害」、あるいは「電車が混んでくると心がざわついてくる」、「会社が近づくにつれて気持ちが悪くなる」といった「パニック障害」や「身体表現性障害」にも同じ特徴を持ちます。よってこれらの疾患にも同じように、衝動コントロールの不具合が関与しているのです。
衝動性の基づく症状や行動は「最悪を回避する」ため
実はこの衝動コントロールの不具合は、本人が想定している最も良くない状態を避けるために、いま本人が可能な数少ない手の内から使っているという流れです。この様子は傍から見ていればの大変不思議に見えますが、実はリスク回避のために行っていることが多いのです。実際に招く確率はとても少ないのですが、「やらなかったときに起こる何かを怖がっている」ために「起こらないように、目の前のことにのめりこまざるを得ない」のです。
よってこのように衝動から来る悩みや行動は、その人の心配する不安を慮らず、目の前の行動だけを取り除くように持っていくことは、とても拙いのです。衝動に取りつかれている人は、自分としても本意ではないが、まがいなりにも自分がいま取り組める数少ない手を使って、招きたくない状態を回避しているからです。そして自分でもやりたくないものを行っているため、本人の自尊心や自己肯定感を犠牲にすることにつながっていくのです。
こころは「ブレーカー」のような働き方をする。
こころの不具合は、私は家にある電気のブレーカーの仕組みに例えています。「これ以上さらに不具合が起こらないように気付かせてくれるような装置」です。家の中で電気のブレーカーが落ちる事態は、負荷がかかりすぎてこれ以上続けると事故の危険性があるから、ブレーカーが落ちて家全体が不具合になるのを守るわけです。このことに例えやすい代表的な疾患がいわゆる「うつ病」です。
些末な話ではありますが、クルマでも不具合が生じたら不具合の箇所だけを直しても対症療法にすぎないので、全体の流れから点検することになります。同様に家のブレーカーが落ちる程度の事態を引き起こしたら、どのような負荷からもたらされたものかを振り返っていくことが、その後の再発を防ぐことにつながっていきます。
これをこころの話に戻すと、精神状態の変調は当事者の過去の体験の影響を慮ることが必要になってきます。子供の頃からの生い立ちと影響が大きいと思われる家族との関係を踏まえたうえで、現在の環境とすり合わせていきます。
次項では、こころとアレルギー反応について述べます。
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