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虚言癖というアディクション

 
 
芝生の上 本
 

環境変化が生じる時期に表面化されるアディクションとして、虚言癖があります。もちろん癖ですから、本人範囲ではやりたくもないのにやってしまう衝動行為、つまりアディクション(依存症)です。

今回は二つの虚言癖の事例を取り上げます。理解しておくことで、引っ掛かったり、巻き込まれたりを防ぎ、距離が取れるように捉えられることに繋がります。

「○○が~と言っている」

まずは、上述のように私ではない人を発信者として、内容を告げてくる流れです。

そもそも日本人の場合は単一民族に近いため、大衆の「常識」を前提として「みんな~といっている」と自分だけの考察をあたかも主流にして、内容に説得力を持たせようとするこのような言い回しは往々にして無意識に使っていると思います。

もちろん自分の好き嫌いやポリシーを大衆化しようとする衝動は自信のなさの表れです。反対されて孤独になってしまうことが怖いことで、逆に無理矢理自分を大衆の方にと作り変えてしまう流れです。

タイトルの言い回しは、大衆化することでも反対や帯びてくれることを連想出来ないため、そもそも「私の意見なのに」別の人の言葉にしてしまっている場合です。

「○○も~といっている」の大衆化とは一文字違いですが、「○○が」と言って場合は、私の意見が表面化されていないところが大きく異なります。私が混じっていると意見の交渉や折衝になりますが、私に焦点を向けられて困る場合は「○○が」と自分を伏せようと「衝動的に」行います。

「○○」とあてられた人は、実は何も言っていないということで、後から事態の混乱を招くことがあります。

「ほんまかいな」という姿勢を

自信を持っている人は自分の意見を「私はこのように考えるけど」「他の人はどのように考えるかわからないけど」など、私の意見を入れつつその内容に距離が出来ることを当然のように思っています。私のこの意見によって私が削がれないことを知っているからです。

若干話が砕けますが、上方表現では過去場面回想時のやりとりで会話調を使います。カギカッコを用いた直接表現形の言い回しは、回想場面をより新鮮に映し出す力があります。一方で「○○が~といぅてたでぇ」ときて「ほんまかいな」という返しも聞いたことがあると思います。この考え方は日常的に使えるのではないでしょうか。

このように「○○が~といっていた」については、そのまま信用してしまうと問題に発展する虚言癖をする人の代表的な言い回しの一つです。

謝罪

弱者になりたがる理由

虚言もアディクションですから、この衝動を「せざるを得ない」人は、相手から返しを食うことで存在自体が脅かされていると過剰に考える思考が、当事者の昔の体験から過敏になって生じています。

もう一つの例は前出のような直接表現形ではありませんが、「親類が亡くなったことにしてしまう」作り話は、わかりやすいと思います。

相手を驚かせることによって、意見を封印してしまおうとする発想の一つのため、よほどこの手を使わざるを得ないほど、言いなりになって追い詰められた体験があるのだと思います。従って親子関係のように人間関係上の絶対的な権力の違いの中を味わわされたというものでしょう。

虚言癖のアディクションとしての特徴

今回は虚言という、「嘘をつかざるを得ない」衝動行為としての身近な二例を出しました。特に前者の場合はビジネスを含め社会的な人間関係上のやり取りにおいて、鵜呑みにして巻き込まれてしまうと大きな事態に発展することが多いものでしょう。

かつ虚言癖の当事者は、虚言をすること自体の罪悪感を生じてはいますが、ここはアディクションです。嘘をつかなかった時に、自分が孤独になることなど過去と同じような不本意な立場や状況にならないことを過剰かつ優先的に心配しています。

従ってあとで話が虚言だったとわかられた時には、当事者は傍から見ているとケロッとしています。これが周囲の反感を買うことに繋がりがちですが、当事者は「その時」がとても大切喝敏感になっていることからも、衝動行為と言えるでしょう。

ちなみに虚言癖のアディクションとしての特徴は、「子供も出来る」ことではないでしょうか。子供のアディクションといえば爪かみなど自分で簡単に完結できるものがほとんどで、相手を巻き込むという方法は想像が出来にくいはずです。

しかしそのような他者の事情を考慮しなければならない中で、虚言を「使わざるをえない」子供は、過去に相当追い詰められた体験があるのだろうとみなします。

もちろん子供の虚言は内容が拙いため、大人の虚言に比べて大きな事態に発展することは少ないですが、子供なりに必死に世の中を渡ろうとしているために生じているアディクションといえるでしょう。

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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