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    川崎沼田クリニック

マウンティングの由縁

「さも私が言われている」と感じるクセ

夫や親のことを言われると腹が立つ…。例えば、女性同士のふとしたよもやま話をしている中で、一方の女性が急に不機嫌になってきたという場面は容易に想像できるでしょう。夫のことを自虐的に話したときに、思わず相手の女性「そうよね~」と乗っかったら思わず不機嫌になってしまった。いろいろと気を遣う状況です。

もちろん不機嫌の当時者の女性は、「私が夫のことを言うのはいいけど、あなたに何がわかるのよ」となります。それに対し相手の女性は「そこまでのつもりはないけど、下手に同意しなかったらかえって場が悪くなりそうで…」などの思いにさらされています。

この「身近な人のことを悪く言われた」に対する敏感な反応は、自分と他人の区別を情緒的に出来ていない段階だからこそ起きることです。この例の場面では、元々夫を「うちの旦那ったら…」と自虐的に話題にすること自体が、既に「あなたは大変よね」以外の結論は受け付けておりません。そして出来ない夫に対し私は優れた立ち居振る舞いをしているという立ち位置です。

マウンティングは「あの時の気持ちをごまかした」影響

このような話題を振っておきながら、夫に対して蔑むようなリアクションを相手から感じて自分がムっとしたというとき、それは「さも私がダメと言われているように感じる」という心的機制です。このようなどっちつかずの気難しい状況を引き起こしている場合、この不機嫌になった本人の心の解釈は「夫に人生を映して価値を依存している」と考えられます。もし相手の女性に夫をけなされたような気がしたというのであれば、実はこれは私自身が夫に目をつぶったという体験があるということです。このように過去に感じたことが蘇ってきたからこそ、不機嫌という強い感情反応としてあらわれるのです。

よってこの場合は、「本当はこの男性と結婚し(続けたく)なかった」など、本人自身がごまかしてきた感情が再び沸きあがったことによるものです。あの時自ら蓋をした感情が飛び出してきて、これを再び無理矢理心の奥底にしまおうとする中で、不機嫌という立ち居振る舞いが必要になってきているのです。

周りに煽られ「ないもの」とした過去

今回は女性同士のマウンティングの一例としてあげましたが、このように急に不機嫌になったときは、本人自身が「目をつぶって」飲み込んだことがあるということです。この例でいえば、「あぁ、この人は夫との結婚はそれほど乗り気ではなかったのに、何か駆り立てられるようなことがあって、無理に結婚したのね」と捉えるのが妥当です。飲み込んできたからこそ、周囲の人には「あなたの選択肢は間違いじゃなかったのよ」と言ってもらいたい衝動にいつも駆られているのです。

このように「要らない正しさ」を周囲に求めるのは、本人自身がその決断に納得していなかった何よりの裏付けになります。しかしここで、このように「正しいことをした」として褒めてもらいたい本人を駆り立てさせているものは、親や周囲の観念です。また特に日本では「後ろ指をさされる」ことへの怖さを教わることが多いですが、この「後ろ指をさされる」に対する怖さとは植え付けられるもので、本人由来の心情ではありません。親を初めとして周囲が、評価を怖がっているのです。

親の想いを受け取りすぎて、納得せぬままに飲み込んで行動したあとには、長い引きずりが待ちうけます。そして「これでよかったのだ」と無理矢理落とし込まなければならない機会が以後も繰り返されます。

これが俗にいう毒親が、世代伝達になってしまう得ない由縁です。

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川崎沼田クリニック

沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F