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こころ、こんにちは。ブログ

    川崎沼田クリニック

不安定な時こそ、相手の事情をみつめる

 
 
海岸を歩く家族の影
 

相手の気持ちをのぞき込む

人間関係で悩んだ時に、自分がどのようにしたらいいかと考えがちです。確かにこのような視点が優先されることは初めのうちは仕方ないことです。しかしカウンセリングや事象帯にする解釈を加えていくことによって、相手の視点を読むことが次第に先に出来るようになってきます。

やや難しい言葉で失礼しますが、特に「抵抗解釈」と言われるものがあります。相手がイチャモンをつけてくる、ハラスメントやお局、マウンティングといったものですが、これらはあくまで相手の切迫した心の事情に関与しています。「抵抗解釈」は、その攻撃は実は防御あるいは勝手に抵抗している様子から、その事情を解釈しようというものです。

この抵抗解釈における共通項は「私が捨てられること、裏切られること」が多いようです。よって加害者になっている人が、実は捨てられたり裏切られることに対する恐怖があって極端な行動に出ているのですから、この対人関係の背景には、加害者の裏に誰かが存在することになります。

いま目の前に本物の相手はいない

一番この背景にある人は、どうしても過去に自分が弱者として存在した時の強者の影響が大きいので、多くの人にとっては親や祖父母にあたります。このように上の世代の状態や機嫌に左右されながら感じとってきた感情が目の前の事象によって加害者の気持ちによみがえり、相手に対留守嫌味やいじめ、ハラスメントにつながっていることが多くあります。

よっていま目の前の加害行為に悩んでいる被害者にとってまず肝になる考え方は、「この人の背景には何があるのだろうか?」です。確かに最初のうちは自分の辛い感情に精一杯で相手の事情を考えるという余裕は生まれにくいかもしれません。しかし診察やカウンセリング、自助グループなどで言葉にしていくことで、相手の事情をのぞき込めるようなゆとりが出来てきます。

そして「この人には私の知らない何かがあるはずだ、それは何か?」「何か別に人から追い立てられた反動が、私に飛び火しているはずだ」などと、不思議なくらい洞察力を持ってみられるように変化していきます。

見えない相手が影響している

もちろん相手の事情は最後まで分からないことも多いです。加害者が配偶者と対立しているか、あるいは親子問題か、または現在ではなく過去の対人関係上の出来事が蘇ってきて妙に「また同じことになるの違いない」と勝手に敏感になっている場合もあります。また戦術のお局という場合は、「あなたなんかもう要らない」と価値の減退化を、周囲から特に言われてもいないのに勝手に感じて抗っている様子かもしれません。もちろん勝手に感じているという敏感さは、会社と家庭など両方から感じている場合にはレバレッジがかかってしまいます。

しかし加害被害関係は一つの現場で行われているため、当事者の相手の背景に潜む事情を慮ることが優先できません。これは仕方のないことですが、目の前で起こっている極端な行動は、必ずといっていいほど過去の出来事に基づく敏感さからくる過剰防衛の結果です。

まとめ : 「何かはわからないけど、何かあるな」と考える癖

「この人にはなにかあるな…」と思える技術を癖にしてくことが、心の余裕につながっていきます。そしてまたこの考え方は、これから来る飛び火に対しても応用が効きます。

毎回毎回同じような出来事に対して、いつまでも落ち込んだり腹を立てたり、あるいは心の乱れを他の極端な行動で紛らわせざるを得ない心の状態を回避することが、次第に治療によって可能になってきます。

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F