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こころ、こんにちは。ブログ

    川崎沼田クリニック

ネット・ゲームへの嗜癖-身近になる嗜癖医療

 
 
治療法
 

今回はゲーム嗜癖第二弾です。こちらを先に書いた方が無難だったかもしれませんね。

インターネット嗜癖からゲーム嗜癖へ

2000年代後半から少しずつ言われ始めた「インターネット嗜癖」をある意味跳び越す形で、今度「ゲームへの嗜癖」がWHOで認定される見込みとなりました。これにより正式な疾患名となるため、ゲームに対する治療への敷居も少なからず低くなるでしょう。

このように嗜癖行為はいつの時代も、「性格」「性質」と言われてきたものから「疾患」として認められることによって裾野を拡げてきた経緯があります。

メンタルクリニック(精神科・心療内科)は「症状」と「衝動」の両面を考慮する

嗜癖行為は「症状」の病というより、衝動に伴う病です。メンタルクリニックではこの衝動の情勢を見据えることがとても肝要です。そして衝動ですから、見つめる矛先はその衝動を引き起こす源泉、つまりその衝動に至る背景やトリガーに焦点をあてることになります。

よって今回主にオンラインゲームが嗜癖医療の対象に加わったということは、「ゲームをやり続けたい」「やり続けざるを得ない」という衝動に駆られ続けているような鬱憤が、本人のこころの中に存在しているということが認められてきたのでしょう。

これは嗜癖医療を単なる目に見える症状や状態像のみ判断せず、見えない「こころのマグマ」に焦点を合わせることが大切であるという深いところを、社会がゆっくりと後押ししてくれていると好意的にとらえています。

母親 カメラ

嗜癖医療は「こころを紐解く」こと

さて、ゲームに行き場を求め続けなければならない理由は何か…。診察やカウンセリングではこのことを少しずつ紐解いていくことになります。この視点を無視して見えている嗜癖行動そのものの部分だけをとらえ、「やめるか、やめないか」だけの視点では、ゲームに限らず嗜癖医療全体が、「綺麗なスローガン」でしかなくなってしまいます。そしてこの「綺麗なスローガン」に基づく勝者は我々援助職になってしまい、反対に犠牲つまり支配される側に回ってしまうのが他ならぬ当事者の方々です。一歩間違うとあべこべになってしまうのです。

実際は医療も含めて嗜癖へのかかわりは、もっと泥臭いものです。人間の「業」はよほど考慮しなければ始まりません。「その行動に駆られる背景にはどのような想いが詰まっているか…」。このことが嗜癖行為や強迫・パニック障害、また身近なところでは「暴力・虐待」「完璧主義」など、神経症(ノイローゼ)と呼ばれる状態からの解放に最も不可欠となる視点です。

 

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川崎沼田クリニック

沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F