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こころ、こんにちは。ブログ

    川崎沼田クリニック

星1レビューの奥にある「正義」と「ギャラリー」の心理

 
 
いじめ
 

精神科・メンタルクリニックをめぐる誤解とその背景

私たち精神科・心療内科などのメンタルクリニックに対して、ときおりGoogleレビューで「星1つ」といった強い否定的な評価が寄せられることがあります。その多くは「お勧めしません」と断定的な文言で締めくくられ、読む人に不安を与える内容になっています。こうした投稿は、単なる不満表明にとどまらず、時に「言ってやった」という高揚感や、見えない「ギャラリー」への訴えを伴って発信されます。

これは、特定のクリニックへの攻撃ではなく、精神科医療そのものへの不信や葛藤、さらには過去の体験からくる複雑な感情の表現でもあります。今回は、そうしたレビューの背後にある心の動きについて、精神医療に関わる立場から社会的に考えてみたいと思います。

「加害者になってしまう元・被害者」の構造

精神的に傷ついた経験を持つ方ほど、「理不尽な扱いを受けた」という強い記憶を抱えがちです。そして、それが解消されないまま心に残ると、今度は自分が「裁く側」に回ることでバランスを取ろうとする心理が働くことがあります。

たとえば、「私は我慢してきたのに、あの人は…」という思いから、誰かを否定することで自分の正しさを確保しようとする。この時に「星1つ」のような断罪的なレビューが出現しやすくなります。それは現在の対象(たとえばクリニック)に向けられているようでいて、本当は過去の体験に由来する怒りや悲しみの再表現であることが少なくありません。

憂鬱 少女

「お勧めしません」という言葉の重み

「お勧めしません」という断定的な表現には、読む人の判断を制限してしまう力があります。個人的な体験として「私は合わなかった」と語るのではなく、「あなたも避けるべきです」と他者を巻き込もうとする構造です。これはまさに「ギャラリー」の存在を意識している証でもあります。

この「周囲の目線」を前提とする振る舞いは、学校や職場でのいじめと似た構造を持っています。いじめもまた、「誰が見るか」「誰が共感してくれるか」という三者関係の中で起きるのです。つまり、加害者(=投稿者)・被害者(=対象)・観客(=レビューの読者)が揃って初めて成立する、社会的関係性の歪みといえるでしょう。

精神科医療に向けられる「誤解」や「偏見」

私たち精神科や心療内科などのメンタルクリニックは、しばしば「目に見えない治療」を提供しています。血液検査で数値が示されるわけでもなく、薬の効果も時間差で現れることが多い。そのため、「効いていない」「理解されなかった」といった誤解を招きやすく、感情的なレビューの対象になりやすい面があります。

また、精神的に不安定な状態で書かれたレビューには、感情の揺れそのものが反映されていることもあります。それを「正当な評価」として広く拡散してしまうことで、精神医療を必要とする他の人の来院をためらわせてしまうリスクがあるのです。

応援の書き込みがもつ「前向きな力」

一方で、感謝の気持ちからレビューを書き込んでくださる方もいらっしゃいます。こうした投稿には、「ありがとうを共有したい」「安心した体験を誰かにも」という前向きな気持ちが込められています。これは自己満足ではなく、他者の役に立ちたいという自然な欲求から生まれた行動です。

私たち精神科・心療内科などのメンタルクリニックは、そうした応援の声に日々救われています。そして同時に、ネガティブな投稿にも、「なぜそのような形で表現せざるを得なかったのか?」という問いを持ちながら、冷静に向き合っていくことを大切にしたいと考えています。

最後に

川崎市のメンタルクリニック・心療内科・精神科『川崎沼田クリニック』では、さまざまな精神的お悩みをお持ちの方のカウンセリングを行っております。下記HPよりお気軽にお問い合わせください。
https://kawasaki-numata.jp

 

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川崎沼田クリニック

沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F