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こころ、こんにちは。ブログ

    川崎沼田クリニック

人間関係のしがらみに疲れた際の考え方を川崎市の心療内科医が解説します

 
 
芝生の上 本
 

当院には、会社で勤められている方、学生の方などさまざまな患者様が来院されています。

そんな患者様のお話を長年聞いておりますと人間関係というのはにしがらみなのだと時々感じることがあります。本記事では、私の人間関係に対する考え方に加え、過去のしがらみから抜け出し、より良い人生を送っていくための解説も行なっております。
男性・女性関係なくお役立ちができる内容になっておりますので
ぜひご覧ください。

「そういうわけにはいかない」という抵抗

私は生まれてから最初の就職まで東北地方に住み、関東に出てきて今年20年を過ぎました。上京当初も感じましたが、東京にはいわゆる生粋の東京人は実はそこまで多くなく地方から出てきた人で成り立っています。そういった意味では、東京は少なからず「移民の街」で、全国から様々な人が募っており、時や文化の流れは地方より早いです。これは、私が関東に長年住んでいく中で感じたことです。

もちろん関東でも全く「抵抗」がないということはないでしょう。しかし、仕事においてもプライベートにおいても、新しい発想に「そうかもしれない」と飲み込むまでの時間はやはり短いと思います。相手や環境の事情にもよりますが、新しいことをする際に必要のない事前の根回しなどはそこまで重要視されずに済む気が致します。

一方地方では、特に人間関係に対しては、新しい考えに対する受け入れは容易ではないでしよう。その際に往々にして出てくるフレーズが、「そういうわけにはいかない」です。

これが地方との大きな違いだと感じています。

「人間関係」という魔の手

これまでも何度か記していますが、基本的に病気には影響が高い因子が存在するものがあります。例えば肺気腫なら喫煙、膵炎ならアルコールや油脂性食物の過量な接種、肝硬変ならアルコールといったものです。ここでこと我々が取り扱う適応障害やパニック障害などの神経症や衝動行為は、仕事やプライベートにおける人間関係におけるいわば「しがらみ」が大きな因子となります。この人間関係のしがらみの大きなものが、上述の「そういうわけにはいかない…」です。このフレーズが様々な場面で呪縛となり、新しい考えや価値観へのアップデートを阻まれ、現在にもはやそぐわない「昔ながらの」を踏襲し、本当に望む方向が「わざわざ」もたらされなくなるというジレンマに陥ってしまうのです。

「そういうわけにはいかない」は、親側の事情

この「そういうわけにはいかない」は、まさに親子関係からもたらされる行動や考え方です。なぜなら親がこのフレーズを握り続けている時、実はその裏には「当時親も変わりたかったのに、私も以前つぶされた」という背景が考えられるからです。

この親が感じる「私もつぶされた」相手は親の親、つまり祖父母です。従って親をがんじがらめにした価値観を下の世代の子どもが覆するようになってしまっては、親の立場から見れば「私の我慢は必要だったのか」と、ある意味やり場のない怒りを目の当たりにしなければなりません。これは親にとてもつらいことに直面することになります。

よって、やりたくもないことをやらされ続けた親であるほど、心の奥底に眠るこの鬱憤は大きく、子どもに簡単に翻されることに抵抗しがちです。「自分には変えることができなかった」と親自らが認めるように捉えてしまうからです。祖父母は既に亡くなり、怒りの行き場すら求められないと親は感じているのかもしれません。このような背景が強い親ほど、子どもの変化を頑固に妨げる傾向に繋がります。

あなたのご両親の生き方を見てみましょう

つまり、過去の呪縛から逃れられないと感じている人の解決策は、その人が影響を受けた人物 (大抵は親) の生い立ちを想像することから始まります。「おそらく当時、親はこのように考えさせられたのだろう」という想定を様々な場面で働かせることで、「私があのようにならないためには、どのようにしていこうか?」を創っていきます。我々治療に携わる者や、社会支援である自助グループなどを共有しながら、手数を増やしていくことが出来れば、「こうでなくてはならない」という唯一の考え方にとらわれていくことは少なくなるでしょう。

いまの暮らしを回しつつ、日常生活の中でこのような新しいエッセンスを加えることで、日頃の煽られに対して「本当にそうなのか?」と距離をもてるようになります。そしてこのような体験が習慣になることで、今までの凝り固まった固定観念や、他人の見栄や意地に巻き込まれることはなくなっていくでしょう。

 

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川崎沼田クリニック

沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F