3Nov

今回は、前半は機能不全家族での前提になりやすい関係性を示します。後半はこのようなトラウマ体験者に認知行動療法時に生じる当事者の反応について解説します。
今回は認知行動療法を例に挙げますが、他にも同じように未来への変化や拡大を狙う想起を促す援助や治療に対しては、トラウマに苦しんだ人々に生じる特有な前提を踏まえることは肝要でしょう。
アルコール依存症家庭の不文律
以前からアルコール依存症家庭にはびこる3つの「禁止」ルールが指摘されています。いずれも現在では基本的な流れとして患者さんたちや支援団体に知られていますが、次のようなものです。
1)「話すな」ルール : 家庭のことを他人に話してはならない。
2)「信じるな」ルール : 周囲が言うことを信じてはならない。
3)「感じるな」ルール : 聞いたことから感情を動かしてはならない。
基本的には、アルコールに伴う家庭内での出来事や緊張を隠蔽し、持ち込まない・取り入れない方向に働いていることは想像に難くないでしょう。そしてこのような方向性は、結果的に変化を嫌う方向に家庭内を保たせるように導いています。
つまり「変わるな」「考えるな」という方向性です。
「同じことを続けている」ことへの高評価
特に日本を含め東アジア圏では、国民性としての見栄・意地もあいまって、欧米諸国よりこれらのような変化を嫌う考え方は大きく支配しているでしょう。伝統・老舗という言葉が崇められ、そのまま長く続くことはすなわち実績という発想の方が頭に浮かびやすいでしょう。
仕事など身近な出来事においても、終身雇用という言葉が決して荒みと扱われることはありません。どちらかというと誉れでしょう。
このように日本では長く続いているということは、変化がないことに対する憂いよりも、続けられている評価の方が大きくなる傾向があります。このことも、上述3つの「するな」ルールは保持される傾向があるかもしれません。
「過去から続いていることに疑問を持ってはならない」という前提が、潜在的に含まれているからなのでしょう。

アディクションは「最悪の回避」
アルコール依存症家庭から派生して、いまはこのような様々な依存行為を総じて「アディクション」といいます。このアディクションとは、いずれも傷つき体験、いわゆるトラウマが著しく心に残り、目の前に生じている出来事に前提のトラウマ体験をリンクさせ、まるでアレルギー反応として強い嫌悪感を生じた時に、その早期かつ確実な払拭のために使っている様子を指します。
よってアディクション行為は、それがたとえリストカットなどの自傷行為であっても、本人にとって「最悪の回避」になっていることが多くあります。もちろんこの際の本人にとっての最悪の事態とは、自殺衝動つまり「死にたくなる」気持ちです。
このような前提を踏まえて、後半は認知行動療法など想起拡大を目指す援助に対する「抵抗解釈」を示していきます。
▼トラウマの影響と認知行動療法の後編はこちら
最後に
また、川崎市のメンタルクリニック・心療内科・精神科『川崎沼田クリニック』では、トラウマ経験でお悩みの方の診察も行っております。下記HPよりお問い合わせください。
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