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職場における適応障害-いじめやハラスメントとの関連性も解説

 
 
 

職場でストレスを溜め込む方は多く、また、職場における適応障害の事例は少なくありません。この記事では職場における適応障害の症状の特徴を解説していきます。

職場の適応障害の「種類」

職場 適応障害 人

職場での適応障害をもたらす状況は、主に「業務過多」「業務相性」「人間関係」の三つに分けられます。
「業務過多」は昨今の「働き方改革」で言われる通り、業務時間超過によるものです。この要因の場合は、適応障害の条件である「その環境が改善すれば、そのままおさまる」にとどまらず、うつ病など内因性の気分障害に発展することがあり、注意を要します。時間超過による不都合は「自分が悪い」という「うつ病」の自責感に至ることがあるからです。

次に「業務相性」も考慮される要素です。しかしこの相性対策は遅れているように思えます。近年は「発達障害」へのアプローチには相性を考えるようになってきましたが、一般でも「相性」という類は意識して行動していくことは、より必要かと思います。
特に日本は概ね一つの民族で構成されている影響か、価値観が画一的な傾向があるように思えます。何事もパーフェクトにできる人は早々いません。しかし一方で「こうでなくてはならない」「自分だけ違うと不安」と考える人が多く、人間と業務内容の相性を慮ることがまだまだ少ないように思えます。「あなたにとってそれは面白くとも、私にとっては全く響かない」ことはあるはずなのに、こと社会人となると「何でもできなければならない」という考えになりがちで、まだまだ個性の要素を否定しがちであると懸念しています。適材適所は存在すると思います。

最後に会社の適応障害で最も多い状況は「人間関係」の問題でしょう。人間関係は適応障害と切っても切り離せない「嫌気」という感情が入るため、実は深堀りして細分化していくことが役に立つことが多いです。特に「面倒臭い」「生理的に嫌い」あるいは「ガチ無理」など、簡単で具体化できない単語ばかりが頭に浮かび上がることが多くなってきている場合には、すぐに「とにかくいや」と思考停止してしまうと、不安が拭えない状況のままです。私たちは、来たる状況でまた同じような嫌気にはまらないように、症状から原因を丁寧に掘り下げるお手伝いをしています。

職場の適応障害の「原因」-いじめ?ハラスメント?人間関係における要素

人間関係

さてこの職場の人間関係を考える際は、「外部事情」と「内部事情」に分けます。
外部事情とは、私生活でも同じことが言えますが、いわゆるまさに及んでいる環境です。例えば「ハラスメント」「お局」「いじめ」など、周囲の立ち居振る舞いによる自分への影響を指します。この外部事情はあくまで相手事情ですから、完璧には逃れられにくいリスクです。そのリスクを持ちつつ周囲の外部事情に振り回されないようにするための心構えは、一言でいえば「俯瞰能力」です。様々な軋轢に対して「むかつく」が先んじる中で、この俯瞰能力があると「んっ?この人にはこのようにふるまうような、私にわからない何か事情があるのかな」と、現場で間を取れるようになります。もちろんこのように一歩引けるようになるためには、相手の事情を見つめることも必要になります。診察の中では状況を聞きながら、「相手はもしかしたらこのような事態にあるから、そのように振る舞うのではないでしょうか」と解釈しています。

一方でもう一つの内部事情とは、自分側の心の反応です。同じような状況でも気にしない人もいれば、反応が高い人もいるため、その違いは「こちらがどのように歩んできたか」が材料となります。家族歴や生い立ちからの影響とその流れを紐解き、「あっ、これは私がこのような環境で生活してきたから、そのように反応しているのだな」と理解が深まってくれば、これも俯瞰能力が高まり、その場で過去と同じように慌てる必要がなくなります。

職場における適応障害まとめ

このように会社の人間関係に基づくこころの不調では、環境・生活とともに「自分の背景」を見つめます。適応障害の方は当初は、「上司が悪い」「体制が悪い」「私のことをわかってくれない」など外部事情の話題になりますが、そこで特に「嫌気」を感じる場合は、内部事情である「自分のこころ」を見つめていきます。次第に「なぜ私はそのように感じるのか」と理由が明確になり、それに対する対策を無理なく備えることで、同じような展開を繰り返さないようになります。

所詮価値観や考え方は本人だけで作られるわけではありません。本人の意思の及ばない中で脈々と刷り込まれている要素を踏まえていくことが肝要です。よって物事への考え方や取り組みを、何でも自己責任とするのは無理のあることなのです。

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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