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こころ、こんにちはブログ

    川崎沼田クリニック

アルコール依存症による共依存(妻の特徴について)

母親 カメラ

今回は共依存(人間関係の依存)における特徴の変遷とそれらと適切に向き合う方法ついて心療内科医が述べてみます。

アルコールが生み出した関係性 – 共依存

共依存とは、例としてアルコール依存症の夫婦関係を代表する言葉で、お酒を飲んでいる夫に依存している妻の姿を示します。飲みすぎにより家庭や社会・仕事において物事を今まで通りに出来ないでいる様子を妻が肩代わりし、支障が出ないような振る舞いをすることで、結果的に夫の飲酒が続くという関係を描いた用語です。

妻は、夜遅くまで飲んで酔って仕事から帰宅し玄関で寝ていれば、「自分が寝室まで連れて行く…」、翌朝酒が残って会社に行くのに手間取るのであれば、「声がけから支度まで全て私があてがう…」、それでも会社に行けなければ会社に欠勤の連絡とお詫びを入れる…といったものです。ある意味甲斐甲斐しく妻が相手(夫)のために「尻拭い」「後始末」をします。夫は妻の世話によって、自分の失態に気づいていないので、今後も飲酒を控えないいうものです。

人間関係が「依存」となる流れ

この様子に「共 ”依存” 」という言葉を使う理由は、例えば夫がお酒で身体が参って入院し、妻の手間がなくなったときの妻の様子から来たものです。

夫の世話への疲れから妻は入院による回復を願っていることすら多いため、アルコール依存症の症状がひどくなり、いざ夫が入院すると、「これまでの夫中心の生活がやめれる」と思いホッとすると思いきや、入院前に妻自身すら願っていた様子にならないのです。他のことに時間を使えるようになりいきいきとするかと思いきや、入院した夫を心配して何か出来ることはないかと言い出したり、あるいは家でやることがなくなって鬱々とした気分で何もできなくなったりします。

夫の様子がやはり片時も頭から離れず、夫中心に世界や人生を生きてしまっている…。このような様子から、夫の酒が治ったら、自分はむしろ生きる糧や必要がなくなってしまうのではないかと捉えられてきました。いつのまにか妻本人が夫の様子に頼っている関係性から、これは依存と捉えられるのではないかという視点が生まれ、共依存という言葉が生み出されました。

私が当初感じた「共依存」

私が依存部門に入って間もない頃に感じた、「共依存」夫婦が醸し出す解釈つまり「におい」は、おそらく「甘え」と「甘やかし」の関係だったと思います。妻が様々なことを繰り返し補い続けてくれているうちに、「何かあっても、あいつが問題ないようにいろいろと手を尽くしてくれる”だろう”」と夫は感じるようになる。一方、妻の方は「夫がこれ以上まともでいられない状態になるのを防ぐには、私がやるしかないし、妻の私しか出来ない」と決め込みます。

しかしこのときの深層には必ずと言っていいほど次のような鍵があります。それは「あの人は酒がなければいい人だから、放っておけない」です。

この「放っておけない」という思いは、ともすれば女性にとっては「器量」という評価につながるので、周囲からも評価される尺度となります。よってなおさらこの夫婦の関係の立ち位置を外すきっかけを持てずにいる状況が続きがちです。特に私が以前住んでいた地方はどうしても価値観は画一的になりがちですから、よりこの趣きは大きいと言わざるを得なかったと思います。

「事後処理」から「事前処理」へ

前述のように元来の共依存は、旧来の女性の「器量」評価に少なくとも影響を受けていると思います。ゆえに酒飲みの夫から脅されて仕方なく行ったことなど一部を除いては、あくまで妻の共依存たる行動は、夫が酒を飲んだ後の「事後処理」でした。

かたや事前にあるのは、「もういい加減飲まないで」という「言葉」が主です。よって「言いきかせるが、守らないので、仕方なく尻拭い」し、妻は眉間に皺を寄せつつ、事後処理を繰り返すという流れです。

ところが、これまで共依存の関係性をもった夫婦や親子を拝見してきて、次第に感じてきたのは「本当に先回りする妻」です。

「リスクヘッジ」としての共依存

近々は情報が昔より取りやすくなった事情か、または私自身が首都圏にいる影響かはわかりかねますが、酒飲みの夫の先を行く妻が増えてきたような気がします。まだ始まっていないことに対しても、後々問題にならないよう「○○しなくていいの !!」などの投げかけを、怒るどころか心配した面持ちで夫に問いかけていることがあります。

もちろんこのような例は過去にも、また地方にもあったでしょう。それはそうとして、このような様子は幼い子どもへの態度です。子どもへのこのような投げかけは、あくまで先に待ち受けるだろうリスクを前もってイメージさせるために、親はこのような促し方をすることもあるでしょう。しかし先々を見る経験をしている大人へ使うと、往々にして非難となります。

しかし時代を経るにつれて、この共依存の「先回り」をする割合が多くなってきているように感じます。ここには現代の情報量の多さ、また特に中央はリスクヘッジを誉れとする傾向の高さ、あるいは当事者の生育歴などから、「先回りすることの妙」への評価が、以前より高まってきているのではないか…と感じています。

このようにアルコールを始めとした衝動統制の病は、病気の型こそ変わりませんが、時代に影響を受けて当事者や家族が引っ掛かるところが変わってきます。従って安易に一般論として型を決めつけず、個別に掘り下げていくことが大切となります。

いじめ 加害者 被害者

(追伸) 夫に対して発達障害の診断を求める妻

ちなみにアルコールではありませんが、このような先回りの例の一つには、夫婦関係のぎくしゃくしてきた流れをもとに、「夫が発達障害ではないかと思って」というケースがあります。

もちろん発達障害のこともあります。しかし時に目が血走っている妻においては、発達障害事象に見合う情報だけを飲み込み、発達障害と決めつけていたりします。よって発達障害ではないといわれてしまうと不服と捉え、発達障害の診断を求めて病院に夫を連れまわすというケースに陥る可能性があります。夫が嫌気を指して酒に行けば、今度はアルコール問題となってしまうこともあります。

このような場合、私は結果的に引っ張りまわされて疲れている夫にお願いしています。「ここは一旦、発達障害かもしれないといわれたということにしておきましょう」と…。

当院について

当ブログを運営する川崎沼田クリニックでは、うつや適応障害などの患者様の”こころの不調”を診療しております。

当記事で、紹介したアルコール依存から始まる共依存についての相談もお受けしておりますので、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F