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こころ、こんにちは。ブログ

    川崎沼田クリニック

摂食障害は何に対する否認なのか(※追伸)

 
 
コミュニティー
 

脂肪アディクション-疾患にならない分類

研修医から十数年、一貫して対人関係に纏わる医療で働いていましたが、ある人から「先生の職場に通っている患者さんは、太っている人が多いですね」と言われたことがあります。これには私も驚きました。

確かに人間関係をきっかけとしての症状や衝動の治療、あるいは関係性の修復や変化への介入が目的のため、患者さんは比較的若年者が多く、また当時の職場は都心部にあり電車に乗って通院(通所)して来るため、決して日常の運動していない人は少ないと存じます。

医療上大っぴらには控えるほうが無難な表現だとは存じますが、当時の師匠の先生はこれを「脂肪アディクション」と言っていました。なんとも一見は無粋ではありますが、摂食障害を拙書に書き起こすヒントにはなりました。

というのも、このような過体重の人が、摂食障害 (のうちの神経性大食症) の中には多く見かけたのです。そして摂食障害のように「やせたい」。そしてその先には、痩せていないと「見捨てられてしまう」や「相手にされない」と述べています。事実摂食障害と言わざるを得ないでしょう。

ここで摂食障害というのは診断基準の中にも「ボディーイメージのゆがみ」といわれますが、このような痩せていない人の摂食障害を何人も診る中で、必ずしも「客観的に痩せている人が痩せていると認識できなくて、もっと痩せたい」というものを指すばかりではないことを連想することができるようになりました。

一方通行 標識

あくまで「体型」のせいにしたくて…

そこで私の師匠が当時述べていた「脂肪アディクション」言葉が上がります。当時は「言うのとは違って、脂肪があることにこだわっている」という解釈でしたが、私なりに掘り下げてみたときに、摂食障害の基盤である人間が信用できないという担保の中に、「この私の太っている姿を、何とも思わないと感じてくれた人だけ信頼する」という解釈を含んでいるのではないかと感じました。

つまり「私を相手にしてくれなかった人は、決して私の “人柄” ではなく、”太っている” ことにより去って行った」と思い込むことで、「私が悪いわけではない、あくまで体型のせいである」と合理化することにあったのではないかと説明しました。そのように考えると、いわゆる過体重の人が体重の話ばかり気にしながら、食行動変容はむしろ実施せず、ただ「痩せたい」と言い続けているということに対して、つじつまが合ってくるのです。

いわば脂肪を自分は悪くないとする守り神に据える…。もはや誰も問いてはいないのに、過去の影響から「私は悪い」と即座に思い込む癖が拭いきれず、これに対する慢性的な自己防衛としての、「脂肪アディクション」ということになるのでしょう。

そこまで「自分を悪者」にせざるを得ない背景はどのようなトラウマか…。そしてこれからにその背景を安易に結び付けない考え方や捉え方を学び直ししていくことが、摂食障害アディクションの治療になります。

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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