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    川崎沼田クリニック

ハラスメントが求めるもの (3)-「お局」を例に

 
 
暴力 ストップ
 

これまで、ハラスメントやかつてのクレーマーと言われるものが、なぜエスカレートや堂々巡りになるのかについて述べました。このようなやり取りは「いつまでも」あるいは「何度でも」相手を変えて繰り返されるという特徴を踏まえ、加害者の立場の人の心理を追っていきます。

そのような考えた時には、「どうも加害者は、目の前の出来事を解決したいわけではないのではないか」にたどり着きます。

〇トラウマ体験は見繕う相手を間違えさせる

まず相手がいる中で繰り返される嗜癖行為は、「本当に向き合いたい相手が違う」という前提を無視できません。従ってパワハラ加害者は加害行為を続けるたびに成果が出ない思いが溜まっていき、その鬱屈の吐きどころとしてさらに加害行動を続けていきます。昨今でのSNS炎上依存などは、まさに同じことが言えるでしょう。

「本当に意見を言いたい相手は誰でしょうか」というのがキーポイントです。カスタマーハラスメントのやりとりなどでもありますが、「解決に持ち込まない」対人関係上のぎくしゃくの背景には、加害者の頭の中に、「その場に存在していない人」の存在があります。

つまり加害者が過去の体験と被らせ、「またあの時の同じことになるのではないか」という過剰な防衛から、結果的に加害行為と呼ばれる行為に出ているのです。そのため加害者には「加害行為」という思いはありません。むしろ正義の防衛行為と思っていることも多くあります。解決したい相手が実際にはいないのに、黙っていては「あの時のように」やられると思って槍を振り回しているのです。

このような観点から、パワーメントに限らず各種のハラスメントは「相手を間違えた衝動行為」とも言えます。

〇嗜癖行為だから、媚薬がなくてはならない。

女性同士のパワーハラスメントとして代表的ないわゆる「お局」についても、気が付くことがあります。これは被害者と言われる側の人の話を聞くうちに、共通項として感じるところが見えてきます。

まずパワーハラスメントは立派な嗜癖行為であり、黙っていれば反復される行為です。従って一連の行為には、あくまで加害者にとって「魅力」となる想いが潜んでなければならないと考えます。一方でその想いの効力が短いため、結果的に再度欲することになり繰り返すことから「依存」という形になります。これは例が飛びますが、週刊誌が「週刊」誌でなければならない理由と似ています。

いわゆる「お局」行為をせざるを得ない人が、たとえ一瞬でも何を欲しがっているのかと、被害者側の話を聞きながら共通点を考えてみました。その結果どうも被害者が「お局」のパワハラ行為を受けての、リアクションが一つの継続する起因ではと考慮しています。

〇「すみません依存症」

 さて「お局」行為対するリアクションを聞いていると、暴言を受けて疲れた被害者が「すみません」「申し訳ないです」と、理由や根拠も訊かずに間髪いれずに謝るというリアクションが、嗜癖行為として継続されている要因かもしれないと考えています。これは決して被害者側に過失などがある訳ではなく、加害者側がより謝ることに対して過剰に反応する要素を持つのではないかという前提です。 

お局行為が「おさまらない言動」であるというハラスメントの前提に沿えば、当然別の内容で同じような言い返せない振舞いが続きます。「言い返させない」ことを目指して、腰に手を当てたり、顎を挙げたり、腕を振り回しながら暴言を吐くという具体的な態度にも表れるかもしれません。

そしてもう一つ嗜癖行為という視点は、根拠のなさです。お局行為として求めてくる行為の内容は、その理由や根拠に疑問がみられることです。「そうとは限らないでしょ?」とそのちぐはぐさを感じることが多くありませんでしょうか。

これは実は内容よりも、加害者側のアイデンティティの視点が重視されているように感じます。つまり「私が決めたことに従う」が重要視されています。組織の平等性の中で生じたコンプライアンスを考慮した内容ではなく、あくまでお局をしてくる方の組織内での立ち位置を保ち続ける方向性であり、従って独断で決めた内容ほど従うように求めてきていることも多くあります。もちろんお局にとっては正義感です。しかし「私はここにいていいのだ」という思いに強く駆られている心理に気づいていません。従ってその内容に疑問を感じたり、納得が出来ないという流れになります。

さて、このようなお局の加害行為に対して、一例ですが「すみません」「申し訳ないです」と返せば、前項で述べたお局側の媚薬になるのではと考えています。

つまり「私が言えば必ず謝ってもらえる」ということ自体が、「相手や組織を私が支配している感を持てる」という意味を感じられるのでしょう。この支配感欲求は、通常は加害者の背景や現状には「むつみあってもらえない」「支配ばかりされている」という過去の体験が考えられます。

つまり過去や現在の他の重要な場所で満たされないことを、職場という別の場所でかつ倍返しで「取り返そう」という衝動に駆られる行為という視点から、立派にアディクションと捉えています。

よってこのお局の被害者に遭った方の手当てとしては、もちろん被害者側の精神状態の回復と余裕を取り戻してもらうことが前提ですが、次のステップとしてお局側の事情を想像していくことになります。もちろんこれは、被害者側が加害者に対して「ざまあみろ」」や「ギャフンといわせたい」という倍返し心情が湧き上がらないことを考慮するという前提もあります。

※最終回はお局への返し方です。

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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