30Jun
前回の肝は「お局さんはすみませんと言って欲しい」ということでした。どうもその背景から、私に謝罪してもらえることに対する強い興味があるのではないかというのがポイントです。
これをと受けて第四項 (最終回) は前回のお局を例に「返し方」についてです。
ちなみにここで妨げになるものは被害者側の「倍返し」をしたいという欲求です。心情論としてはありますでしょうが、あくまで被害を受けて精神状態を病んでしまうことから自分を守るためにという視点で方策で述べていきます。
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〇パワハラには「ご指摘ありがとうございます」という姿勢
パワーハラスメントは、友人や知人関係などと異なり、お互いに付き合いの任意性が保てない職場という組織の中で生じています。自由な関係性にならない環境で、このようにお局の加害者は「謝られること」に対する媚薬に取りつかれて、繰り返される行為と考えています。
そこで表題のとおり、「ご指摘ありがとうございます」あるいは「以後そのようにやってみます」と、「感謝」や「次の指針」を示す言葉で返すことを提唱しています。
お局になる加害者は、自分の言動は「正義」と捉えざるを得ないほど、あくまで職場以外の立ち位置から「追い詰められ感」を持っていることが多くあります。そこで逆の立場を欲するようになります。つまり謝罪という形で「自分を無条件に認めてもらえる」様子に触れてある意味感動し、以後は衝動的に近づいてきます。
〇パワハラ加害者は「感謝」には逆に反応が薄い
従って本人が想定していない「感謝」を示されてしまうと、媚薬として感じ取れなくなります。一般的には感謝を示されるとほんわかとした気持ちになりそうですが、感謝とは平等意識を作り出す方向に向かいます。
今すぐ上の立場になりたいと感じる人は、相手に感謝は求めてはおりません。従ってお局行為の衝動に駆られている人は、逆に感謝されるとポカンとしてしまうでしょう。「感謝という流れが人付き合いの次のステップに繋がる」と信じられない伏線があるからです。これは加害者側の家庭内虐待やいじめなどトラウマ体験で得た心情が関与しています。対等な関係が信じられないことが背景にあります。
そこで意識的に「感謝」と「次の行動姿勢」を示す返事を心掛けるようにお手伝いしています。
一方で前述したように「一発かましてやりたい」は目指さないことをお願いしています。ちなみにこれが前述の「週刊誌」の役割で、有効期間が短いから、頻回に天井知らずにかましてやりたくなり、被害者が次の加害者になる流れに動きます。
今回は4回の長編でハラスメントについて述べました。このように加害者の背景から特徴をおさえていくというのが、アディクションの洞察に大切なことです。
最後に
また、川崎市のメンタルクリニック・心療内科・精神科『川崎沼田クリニック』では、ハラスメントで精神的にお悩みの方の診察も行っております。下記HPよりお問い合わせください。
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