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こころ、こんにちはブログ

    川崎沼田クリニック

メンタルクリニック(心療内科)と家族の付き添い

今回はメンタルクリニック (心療内科・精神科)の受診において、家族がどのように付き添うか、どこまで一緒についてくるかに悩むケースについて、当院の見解を交えながら述べていきます。

付き添いについて家族が悩む例

メンタルクリニックでは、精神病性の障害、うつ病、認知症などでは病識・病感が本人と家族で認識が異なることがあります。また各種依存症、摂食障害や強迫性障害など不安や衝動に基づく疾患、DVやハラスメント・思春期問題などでは、家族がどこまで付き添ったらよいか悩むことがあると思います。

実際にメンタルクリニックでの家族同伴は、一概にこれといったルールは決まっていません。診察では病態や状況を判断するために診察中に家族を招く、あるいは本人一人で話す機会を設けるために家族を外に出すこともあるかもしれません。

また病院まで付き添ってきたものの、本人が家族の同席診察を拒むこともあります。この時の家族の反応として「本人の言うまま先生が受け取ったら困る」と心配することがありますが、医師側は情報咀嚼には長けています。それこそ刑事ではありませんが、疑問があれば擦り合わせますので、最初から診察に同席しなくても事実関係を適切に聴取していくとは思われます。

リミットセッティング

特に社会問題や家族関係が絡む際には、家族が本人の陳述を一つ一つ確認しながら診察に臨みたいという想いがあるかもしれません。「先生、本人はこのように言いますけど違うんですよ。聞いてください。実際は○○なのです」と訂正を想定しているときです。またご家族が「先生に本人を正して欲しい」「先生に言ってもらえば、本人は受け入れるだろう」と考える場合もあるでしょう。つまり家族の意向に沿った判決を本人に示す裁判官のような役割を求められる場合です。

しかしこのような家族の意向をそのまま飲み込めば、本人は診察室内で家庭と同様に萎縮し、以後反動として衝動行為が高まります。人は「へこませてやらせる」は、続かないからです。

特に依存症や衝動行為は溜まった鬱憤の発散のため、当事者より家族のその時の期待を優先しては、本人の鬱憤を強化してしまいます。そこで以前から精神科診察では、リミットセッティングというものがあります。その一例は、次のようなものです。

「誰かが話しているときには、事実や認識が違うと感じても話を遮らないこと」

(→話す機会は振ります)

「診察中には、お互いに問いかけないこと」

(→言い争いではありません。あくまでお互いの気持ちを話すところです)

「診察を出てから、診察室内の言葉について、お互いにむしかえさないこと」

(→帰路に「よくもあんなふうに言ってくれたわね」という心配があると、話せなくなる)

以上のようなものです。確かに事実は一つかもしれませんが、事実に対する感じ方は様々で当たり前がありません。立場によっても変わるでしょう。従って誰が正しいか間違っているという視点では、診察自体が争いになってしまいます。お互いの想いを持ち寄りながら進めるために、このように設定があります。

当院の受診と家族の付き添い

当院は新患予約時に、受診する本人からの直接電話で話を聞かせて頂いております。例えば「不登校の子供に悩む親」「アルコールの夫に悩む妻」など、問題を呈する当事者と悩んでいる方が異なる場合は、「悩んでいる方」が受診対象です。この時は「不登校の子どもや酒飲みの夫のことで悩んでいる」が動機となります。このようなあくまで「悩んでいる人」に基づいて掘り下げていきます。

ちなみに「本人が来ないと何も変わらないのではないか」という家族の方が考えがちですが、実はそのようなことはありません。特に同居家族が悩む場合は、実は大抵当事者も悩んでいます。しかしどのように脱していいか、あるいは相談していいのかがわからずに鬱屈し、様々な問題行動が続いています。よって家族が外部に相談し、様々なアドバイスにより家族に余裕が生まれる流れを当事者が家庭内で触れることで、次第に本人も「あぁ、私も相談に行っていい」という雰囲気になってきます。

このように家族が最初に相談し、あとから当事者が登場することは、メンタルクリニックでは妥当です。問題の当時者が来ないと話にならないということはありません。

また当院では本人と家族が主役・脇役という分類はしておりません。家族同伴診察は当事者の方の同意を頂いています。当事者の方が、家族の視線から気持ちを閉ざさないことを目指します。

悩みの当事者はそれぞれ

このようにメンタルクリニックでは、「悩みを決めつける」ということがありません。「きっとこうに決まっている」という流れもありません。

例えばアルコール問題を抱える父親がいたとしましょう。「社会との軋轢に悩み酒量が増える夫に対し、夫の気持ちがわかるゆえに励まし続ける妻、そしてその二人の親を見ていて、「お母さんが疲れていてかわいそう」という子供達…。家の中では各々がいつも気を遣っている。一つの「酒飲み」の話でも、悩み方が各々の立ち位置で異なります。

このように絡み合った関係性を紐解きながら新しい道筋を作っていくのが、メンタルクリニックの役割の一つです。

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川崎沼田クリニック

沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-20 加瀬ビル133 4F