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こころ、こんにちはブログ

    川崎沼田クリニック

DVによる後遺症について心療内科医が解説していきます

暴力 ストップ

まず初めに夫やパートナーなどの相手からDVを受けている場合、知人やお近くの心療内科医などに相談されることをお勧めします。

ドメスティック・バイオレンス(DV)とは(男女共同参画局)

本題に入ります。
配偶者暴力(DV)とは、配偶者または事実婚のパートナーなど親密な関係にある人(または親密な関係にあった人)からの暴力のことを言います。心身問わずパートナーに対して危害を加えることはもちろん社会的に許される行為ではありません。これらが理由で慰謝料が発生する離婚につながるケースも少なくありません。

今回はそんな家庭内暴力(Domestic Violence / DV)がその後の人生においてどのような影響を及ぼすのかを解説していきます。
ちなみにDVには、「男性(夫)が加害者、女性(妻)が被害者」のパターン、「女性(妻)が加害者、男性(夫)が被害者」のパターンがありますが、今回は前者について主に解説していきます。

ちなみに、家庭内暴力は家の中で起きる物理的な体による暴力だけではなく、精神的に相手をとがめて心を傷つける行為も、家庭内暴力の一つと言えます。最近では「モラハラ」という言葉もよく耳にすると思いますがまさにこのことです。モラハラに関しては当記事では詳しく述べませんが、近い間に対処法などについて解説できればと思っています。

DV(家庭内暴力)と適応帰省

少々前に話題となった少女の監禁事件で、「適応機制」という言葉が報道で取り上げられました。この適応機制とは、自分が「その空間や状態に当初は苦痛を感じても、無意識のうちにいつのまにか適応していくようになる」様子を示します。このトラウマに対する適応機制の状態が続くと、以後のあらゆる場面で当時学習した考え方や価値観が反映され、長い間当事者を苦しめることにつながりかねません。もちろん似たような出来事を体験したときには、時間が立っていたとしても、ある種フラッシュバックのような症状が起きる可能性もあります。

ここで精神的トラウマの代表的なものである家庭内暴力 (DV) を取り上げます。例えば夫(加害者)が妻(被害者)にDVをしている場合、当初は夫(加害者)の暴力や罵りに痛みを感じていた妻(被害者)が、知らず知らずのうちにそれらの経験に対してある意味「順応」してしまうのです。極端になると、妻(被害者)が次第に生活の是正を訴えなくなってきます。そしてまた閉鎖空間の中でDVが継続されます。

DVには「マメ」さが必要

DVにおける適応機制は簡単に以上ですが、このいわゆる「順応」が円滑に進む程度は、実は夫婦個々の婚姻前の生活で得た物事の捉え方や立ち居振る舞いに左右されます。

まずこの事例の加害者である夫側に必要な要因は、いわゆる「マメ」さです。ただしこの「マメ」は、決して余裕のある温かい眼差しなどに由来するものではありません。こういった夫の特徴は、きっかけとなる経験があるのかいつも人間関係上の破綻に対して強い恐怖を感じることがあります。つまり「見捨てられ不安」を抱えている前提があります。そしてこの不安な夫は、妻にいつ裏切られるのかに過剰に敏感になっています。極端となればストーカーのような心理状態です。もちろんこの思いが目に見える形として顕在化することもありますが、そこはやはり「家庭内」の暴力です。多くの場合この夫の心の内にあるストーカーのような厳しい思いは、日常的には実は反対に「極端なやさしさ」として現れてきます。

この極端さとは、被害者を受けた妻が思ってもみなかったある意味サプライズな振る舞いによって示されます。理解し難いと思いますが、私が研修医時代からよく相談を受けていた事例として出されるのは、「DVの翌朝は、夫は目玉焼きを作って妻の目覚めを待っている」という場面です。前日の極端な暴力の後の行動として、夫のこの思ってもいない行動が繰り返されると、次第に妻は「水に流す」ことを覚えていきます。日頃、夫がしない「おもてなし」をうけると、それが目玉焼きを作るという大きなことではないとしても、いつもとの差から妻にはサプライズと受け取ってしまうのです。

一方このような流れには妻側の事情もあります。
この「水に流す」という代表的な心理は、「考え続けて苦痛を味わい続けるのなら、なかったことにしてしまった方がいい」という思いです。これは実は幼少期体験の影響と強い関連性があることが多いです。心理学用語では「抑圧」といいますが、この「なかったことにしてしまう」という収め方は、力のない子ども時代に、力のある人間とのやり取りから会得する一種の防衛的なモノの考え方です。

基本的に家の中では子どもを除くと第三者がいないことがほとんどなので、このような「おかしな状況」に対して特に違和感を覚えることがないというケース実は多くないのです。

謝罪

【DV(家庭内暴力)について】まとめ

このように危害を加えた夫の「マメ」と、被害を受けた妻の時がたち「水に流す」が掛け合わされて、継続的なDVが出来上がります。前述の少女監禁事件と同様、DVの問題がなかなか露呈しない特徴として、実は「人間は当たり前になると言葉を失う」という事情も影響しています。その場の辛辣な状況を後日改めて表現する言葉も見つからなくなるのと同時に、「怖い」「辛い」などの本人の感情表現すら時が経つとどこかに追いやってしまうのがトラウマ症状による影響です。かつこのトラウマ症状から得た心理状態が、家族以外でも、社会の中で別の人間との関係性にも再現されることで、緊張感の高い人間関係が新たに築かれることにもつながっていきます。

以前から「トラウマが影響した人間関係の治療」は、「見失っていた言葉を取り戻す」ことを一つの通過点としてきました。この四半世紀で変遷はありますが、現在でも言葉にしていく空間である様々な自助グループの存在意義は大きいです。 言葉にするということは、日頃私たちが考えている以上に欠かせない習慣です。言葉に表せるようになって初めて、「さて今後は同じような轍を踏まないように、どのような工夫をしていこうか」という課題に向き合うことができるようになっていきます。

もしDVを受けている状況下でかつ相談できる相手がいない場合はお近くの心療内科に行ってみるのも良いかもしれません。

こころ、こんにちはブログではその他の事象についても、心療内科医が心理的な側面から解説しています。さまざまなこころ具合について理解を深められたい方はぜひチェックしてみてください。

【あわせて読んでみる】こころ、こんにちはブログのその他の記事

『復職に際して』2022年5月27日投稿

『人間関係は運転である』2022年3月21日投稿

『大人になってからの虐待の影響』2022年5月10日投稿

また、当ブログを運営している川崎沼田クリニックでは、家庭内や社会が原因で、こころのお悩みを抱えてしまった患者様の治療やカウンセリングを行っています。川崎市、もしくは周辺地域にお住まいの読者様の中で、「過去に受けたハラスメント忘れられない」などのお悩みがございましたら、下記のリンクが当院の公式ホームページになりますのでまずは一度ご覧ください。
https://kawasaki-numata.jp/

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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