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EAなどの自助グループの新たな役割

 
 
 

EAなどの自助グループは、有効なコミュニティとしての存在

アルコール(含マック)や薬物(含ダルク)のためのEmotion anonymous (EA)などの自助グループは、依存症関連や親子・対人関係問題の解決ツールにいまや欠かせない存在とはいうことは揺るぎないでしょう。アノニマスという名乗らない存在、相手の話していることに「割り込まない」「意見しない」「蒸し返さない」という三大ルールは、自由な「語り場」としての機能を大きく促進させるものです。

一方で実は私には疑問や副作用も同時に感じていました。それはアルコール依存症の人が入院や社会支援のあっせんを受けて、以後アルコール問題関連のEA自助グループだけを何か所もまわることはするにもかかわらず、本格的に社会に貢献する方に回ろうとするところまで行きつかないことが多いということでした。

これは一例ではありますが、生活保護を受けながら、勤労控除に抵触しない程度の週二回のアルバイトで、あとはEA自助グループに行き続けて、その結果飲酒や薬物をしていなければそれでよい…。そしてEA自助グループでいわゆる「お偉いさん」になり、あとからきた当事者さんに先輩としてアドバイスしていく。(…といっても、ほとんど一律に ”少なくともいまやっていない私たちをモデルにしていけば回復する” という内容で、アドバイスを受ける側は最初から立ち位置にいない)

これではあとから当事者となった人達で、応用できる人は限られてくると思っていました。よほど身体が弱っているなど、限られる人だけでしょう。もちろんそれが共通する最低限の援助を満たすということであれば確かに妥当な水準かもしれませんが、私にはどうもこのような流れがしっくり来ませんでした。

「それは誰しもに当てはめられるものではないだろう?」というEA自助グループへの疑問

EA自助グループのプログラムに対して「それは決めつけすぎだろう?」と思ったのです。人によってプロセスが違うのだから、引っ掛かるところも違う、その払拭のために酒や薬物を異常に使わざるを得ないのに、同列に考えるのには無理があるだろうと…。

EA自助グループを続ければ、確かに一蓮托生が有効して酒や薬物は止まっているかもしれませんが、その段階で止まってしまうのです。もっと言えば「止めていることにこだわり続けている」ように見えるのです。いくら社会的に落ち着いているといっても、自分で自分の人生を選択することに必要な情報の流れを削いでしまっているような気がしていたのです。

それでもEA自助グループが何らかの利益はもたらしていることは感じます。そこで自助グループの役割、メリットというのは何かを言葉で拾い上げられないか思っていました。当事者の方々が使うコミュニティとして、「どのようなところが有効か」をしっくりと説明できるような言葉を模索していました。このような言語化によって、初めてEA自助グループという存在がコミュニティとして推奨されるようになるだろうと考えました。

EA自助グループは「決して自分に言ってはいない」を体感できる空間

EA自助グループでの主な目的は、「どういうわけで私は(酒や薬物を)自分に不都合が及ぶまで使わざるを得なかったか」という個々の事情の掘り下げです。そこで様々な茶々が入らないように「言いっぱなし、聞きっぱなし」というルールのひとでお互いに話をしたり聞いたりします。私にはそれが当事者の方々が望む、例えば円滑な人間関係を作るにおいて、あるいは自己肯定感を高めるという目標に向けて、「なぜ有効か」という答えを長らく見つけられずにいました。

しかしやっと最近になって、EA自助グループは一般社会に比べ「ここ」が勝る部分が閃いてきました。いまは「他の社会にはないEA自助グループのメリットは何ですか?」と訊かれたら、このように答えられます。

それは、

”いま私が聞いている内容は、決して私に言っているわけではない ”ということを、身体で覚えていける空間である ”

ということです。

実は対人関係問題や依存症・嗜癖問題、社会問題など自助グループを必要とする分野は、単純には神経症と言われるものです。そして神経症とは、過去の体験のオーバーラップにより生じるもので、結果として様々なところで「見境がつかない」という特徴から発しています。このことを頭に据えながら特殊ルールのEA自助グループに臨んで頂くことにより、

「自分と他人の違い」「あの時といまの違い」「夢と現実の違い」

といった、自己愛を育んでいくのに必要な「区別」体験を積み重ねていけるものだと考えています。

 

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沼田真一
川崎沼田クリニック 院長
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